中心静脈カテーテル法は経皮的に穿刺し、そこから中心静脈内までカテーテルを挿入する方法です。カテーテルの先端は心臓の右心房付近の上大静脈まで到達させます。

そのため、中心静脈での圧測定や、採血、高カロリーを輸液することが可能となります。

中心静カテーテルの挿入経路としては、鎖骨下静脈、内頚静脈、外頚静脈、大腿静脈、尺側または橈側皮静脈が使用されます。

ここではIVHカテーテルの長期留置に伴う基本的な注意事項と合併症、カテーテル感染の予防策と合併症を起こさないための日常的な輸液ラインの管理法について説明していきます。

 <IVHカテーテルの長期留置に伴う基本的注意事項>

① カテーテルは体内にとって異物であるため血液の付着や凝固が生じやすいです。
・ 一度カテーテル周囲に凝血塊が出来ると、静脈を閉鎖し末梢の静脈炎や浮腫につながります。
② カテーテルに細菌や真菌がつき繁殖しやすく、カテーテル関連血流感染症*の危険性があります。
* 他に明らかな感染源がなく、カテーテルの先端を培養すると1000個いじょうの微生物が検出され、かつ末梢静脈血培養で検出された微生物と一致し、臨床的にはカテーテル抜去により感染兆候が招待すると定義されています。
・ 静脈内カテーテルは、カテーテル挿入時、点滴ライン、輸液剤などから感染する危険性が高いです。
・ 一度異物に付着してしまうと、適温、輸液からの栄養といった好条件により細菌や真菌が一気に増殖します。
・ 患者様の熱型に注意する必要があります。
・ カテーテルを抜去する以外に治療方法はないとされています。
③ カテーテル内腔に血液が逆流した場合、凝血塊が内腔に付着しカテーテルが詰まりやすくなります。
・ 点滴の操作中等に血液がカテーテル内に逆流する機会が多くあります。そのときにすぐに輸液で血液を流しださないと凝血塊が出来てしまいカテーテル閉塞の原因となります。
④ IVH挿入後長期間経つと固定の意図が緩んできたり、外れたりします。
・ カテーテルの固定時に糸で縫合します。しかし、長期間になるとドレッシング剤の張替えによる刺激や患者様の体動、糸の緩み等から当初の固定力がなくなってきます。そのため、毎日縫合部の観察やIVH挿入の長さに変化はないか観察する必要があります。IVH挿入部位、日にち、挿入時に何cmで固定したかの記録が重要です。

 <IVHカテーテルの長期留置に伴う合併症>

① カテーテル感染
② 静脈炎
③ 静脈血栓症
④ 自然抜去・血管外輸液
⑤ カテーテルの誤挿入

<カテーテル感染の予防策>

① カテーテル挿入時の徹底した無菌操作
② 輸液バック混注時の無菌操作
・薬剤部で混注されている病院もありますが、病棟で混注する場合は使用直前に行い、手洗い、手指消毒、手袋を装着し実施します。
③ 輸液ライン側注時の無菌操作
④ クローズドシステムの使用
⑤ フィルターや輸液セットの定期的交換
⑥ カテーテル挿入部の定期的消毒と透明滅菌フィルムドレッシングの使用と交換

<合併症を起こさないための日常的な輸液ラインの管理法>

① ファイルターや輸液セットの交換
・ フィルターを含んだ輸液セットの交換は定期的に行います。交換前には必ず手洗い、手指消毒、手袋を装着し実施します。
② 側管からの薬剤の注入
・ クローズド輸液システムを用います。側注管にルートを接続する場合は、側注管を消毒してから接続します。
③ 挿入部の消毒
・IVHカテーテル挿入部には透明滅菌フィルムドレッシング剤を使用します。そうすることで固定糸のはずれがないか、挿入部周囲の皮膚状態の観察をすることが出来ます。
・挿入後数日は浸出液が多い場合はガーゼを当てておく場合があります。浸出液が少なくなれば透明滅菌フィルムドレッシングに切り替えましょう。
・ 挿入部は定期的に消毒します。消毒前には手洗い、手指消毒、手袋を装着し実施します。滅菌透明フィルムドレッシング剤の粘着力が強い場合は、はがすときにIVHルートまで引っ張ってしまいます。摂子を適宜使用しながら静かにはがします。
・ 消毒方法は挿入部をはじめに消毒し、円を描くように一度通ったところは通らないようにして消毒します。透明滅菌フィルムドレッシング剤で覆われるIVHカテーテル部分も一緒に消毒しておきます。

 

 

⑤ カテーテル・輸液ラインの固定
・ IVHカテーテルと輸液ラインの接続部は患者様にしっかりと固定しておくのが望ましいです。
・ IVHカテーテルは一般に細くてやわらかいため、ねじれや破れに注意します。
・ カテーテルの固定糸は消毒時や検温時に適宜観察を行います。糸が緩んでいる場合、切れている場合や挿入固定の長さが代わっている場合は意思に報告します。
⑥ 輸液の一時中止時
・ 輸液を一時中止するときは、ヘパリンでカテーテルをフラッシュしてからとめます。
・ 輸液セットをはずす場合は、接続部を消毒後、キャップをして滅菌ガーゼで包んでおきます。