中心静脈カテーテルは中心静脈圧を経時的に測定する場合、高カロリー輸液を必要とする場合、ショック患者やうっ血性心不全の状態把握・治療効果の指標、静脈穿刺が困難で繰り返して点滴や静脈内薬剤投与が必要とされる重症患者に対して実施されます。

中心静カテーテルの挿入経路としては、鎖骨下静脈、内頚静脈、外頚静脈、大腿静脈、尺側または橈側皮静脈が使用されます。一般的に鎖骨下静脈または内頚静脈穿刺による中心静脈カテーテル挿入方法が多く行われています。鎖骨下または鎖骨上から経皮的に、鎖骨下静脈または内頚静脈を穿刺し、カテーテルを中心静脈まで挿入する方法です。しかし、患者様の状態により他の部位からの挿入が行われます。ここでは最も一般的に行われている鎖骨下静脈穿刺による中心静脈カテーテル挿入時の合併症と感染を防ぐために重要なIVH挿入部消毒方法について説明します。

 

 <鎖骨下静脈穿刺時の合併症>

① 気胸
・咳や呼吸困難の症状が見られます。胸部X線を撮って確認し、必要に応じて酸素吸入や胸腔ドレーンの挿入を行います。
② 内頚静脈誤挿入
・ 頚静脈部に疼痛が見られます。点滴を中止し、胸部X線を撮って確認します。カテーテル抜去か位置の修正が行われます。
③ 動脈穿刺
・ 鎖骨下穿刺時に鮮血が拍動性に噴出します。穿刺部を圧迫し、血圧や脈のチェックも同時に行います。
④ 空気塞栓
・ 穿刺時に拍動とともに前胸部に気泡音を生じ、呼吸困難が見られます。気泡が肺動脈に直接流れ込まないように、下肢を挙上し、やや左側臥位にします。
⑤ 腕神経叢損傷
⑥ 胸管損傷

<IVH挿入部の消毒>

<必要物品>

・ 手袋
・ 滅菌透明フィルムドレッシング剤
・ 10%ポピドンヨード製剤(スワブスティックまたは10%イソジン液に浸した綿球)
・ 使用済み消毒液やドレッシング剤を入れるための袋
・ 必要時摂子
・ 必要時ガーゼ

<手順>

① 患者様にIVH挿入部の消毒、滅菌透明フィルムドレッシング剤の交換を実施することを説明し承諾を得ます。意識のない患者様にも声をかけます。
② 必要物品を準備します。
③ 衛生学的手洗いを実施します。
④ 手袋を装着します。
⑤ 滅菌透明フィルムドレッシング剤を丁寧にはがします。
・この時、粘着力が強い場合はIVHカテーテルがドレッシング剤とともに引っ張られないように注意します。また、IVHカテーテルと皮膚を固定している糸にドレッシング剤が残りやすいです。ドレッシング剤を残したままにすると感染源となります。そのため摂子を使用し、ドレッシング剤のはがし残しがないように丁寧にはがしましょう。
⑥ 10%ポピドンヨード製剤で消毒します。
・ 挿入部をはじめに消毒し、円を描くように一度通ったところは通らないように消毒します。透明滅菌フィルムドレッシング剤で覆われるIVHカテーテル部分や縫合部も一緒に消毒しておきます。

⑦ 2分以上消毒液が乾くのを待ちます。
・消毒液は乾くことで殺菌効果が得られます。
⑧ 新しい滅菌透明フィルムドレッシング剤を貼ります。
・この時、IVHカテーテル周囲やしわに注意して空気が入らないようにぴったりと貼り付けます。浸出液や血液が多い場合はガーゼ型のものを使用します。この場合は2日毎に交換を行います。フィルム型は7日毎に交換を行います。ドレッシング剤の剥がれや汚染がある場合は適宜交換します。
⑨ 手袋をはがします。
⑩ 患者様の衣服を直します。
⑪ 袋に使用済みの物品を入れ片付けます。
⑫ 手洗いを実施します。
⑬ 消毒実施日や挿入部の皮膚状態、挿入の長さに変化はないかについての記録を行います。次回消毒の基準となります。

<消毒時の観察ポイント>

① 挿入部の発赤、圧痛、腫脹、浸出液、排膿はないか。
② ドレッシング剤を貼っている部分の皮膚状態はどうか。
③ 縫合部周囲の皮膚状態はどうか。
④ 縫合部はしっかりと固定されているか、緩んでいないか。
⑤ IVHカテーテルの挿入の長さに変化はないか。