同じ医療者でも携わる診療科によって、基礎として持っている知識は全く違うものですよね。その中でも脳神経外科の領域は、他病棟では行わない用具を用いて患者管理をするため、特に苦手意識がある方も多いのではないでしょうか。今回は、脳神経外科領域で行われるドレナージの中から、代表的な「脳室ドレナージ」についてご紹介します。教科書などに書かれた脳室ドレナージの図と一緒にご覧ください。

脳室ドレナージを行う目的は、①脳圧測定、②急性水頭症に対する髄液排除、③脳腫瘍・脳出血・くも膜下出血術後などの水頭症の予防や脳圧コントロール、④薬液や人工髄液の注入(灌流)などが挙げられ、主に②、③を目的として行う場合が多いです。

脳脊髄液(髄液)は脳から脊髄を常に循環していて、絶えず産生・吸収が行われています。脳脊髄液は1日約500ml産生されていますが、③などの疾病により吸収が阻害されると、脳が浮腫を起こしてしまいます。しかし、脳は頭蓋骨に囲まれていて、浮腫を起こしたとしても逃げ場がなく、結果として脳を圧迫して、最悪の場合には脳ヘルニアを起こして、生命の危機を招くことになってしまうのです。それを予防するのが、脳室ドレナージです。

 

  • 使用する機材

手術室の中で、脳室ドレーンを挿入したものと、閉鎖式髄液ドレナージ回路とドレナージバッグを無菌操作で連結したものを繋げて患者さんは退室してきます。ドレナージバッグが髄液で一杯になった場合には、ドレナージバッグだけを交換します。

 

  • ドレナージ回路の固定方法

脳室ドレナージ管理をする上で、大切なことは正しく固定をすることです。中心静脈圧測定を行ったことのある人ならわかると思いますが、ゼロ点を正しく設定することで結果として出てくる圧、脳室ドレナージでは頭蓋内圧が変化してしまいます。中心静脈圧との違いは、脳室ドレナージはゼロ点を設定してドレナージを開放することで、脳脊髄液を排出するという治療の側面を持っているということです。そのため設定が正しくないと、適切に脳脊髄液が排出されずに、水頭症や脳脊髄液減少症になる可能性が出てしまうのです。

ゼロ点は、耳孔の高さで設定します。脳疾患を持つ患者を管理する際には、ギャッチアップ30°程に体位を整える場合が多いですが、その状態でも耳孔の高さがゼロ点となります。

そして圧を設定する場合は、まず医師の指示が必要になります。脳脊髄圧(脳圧)の正常値は60~180mmHg(6~18cmHg)ですので、脳脊髄液を排出したければ低く、排出したくなければ高く設定します。その指示に従って固定する高さを変更しますが、耳孔をゼロ点として閉鎖式髄液ドレナージ回路の排液が落ちてくる場所の上のリング部分との高さの差で設定します。

 

  • 観察
  • 排液の性状の変化

脳出血やくも膜下出血で脳脊髄に血液が流れた場合、排液は最初は血性ですが、排液が進むとオレンジ色(キサントクロミー)となり、その期間がしばらく続いた後、透明に変化します。

また、脳室ドレーンチューブは皮膚から脳内に入っているので逆行感染を起こす場合があります。感染した際には、排液が白濁してきますので、感染兆候を見逃さないようにしましょう。

そして、圧の設定にもよりますが、同時に排液の量も観察しましょう。

  • 滴下や拍動

脳室にしっかりドレーンが入っている場合、規則的に滴下が見られるか、チューブの途中で拍動