ケアマネジャー(介護支援専門員)とは、介護支援分野におけるスペシャリストです。近年、病院や施設から在宅での介護をすすめる動きがあり、ケアマネジャーの需要が高まっています。

ケアマネジャーは国家資格

ケアマネジャーは国家資格です。資格取得のためには、介護福祉士や看護師など所持している資格によって変わりますが、一定の実務経験が必要です。それをクリアした人が年1回の試験を受け、合格した後に研修を受けることで資格取得となります。そして5年ごとの更新研修があります。試験の合格率は近年20%を下回っており、難関の試験となっています。それだけ、介護に関する法律や高齢者に多い疾患など、覚えなければならないことがたくさんあるということでしょう。以前は所持している資格により免除科目がありましたが、2015年度の試験から廃止になりました。また介護保険制度の改正もあったため、益々難関の試験となっています。

 

ケアマネジャーの働く場所

 

ケアマネジャーの主な働く場所は、居宅介護支援事業所です。仕事の内容は、自宅を訪問し利用者に必要なサービスは何かアセスメントしたり、家族が困っていることはないか相談にのったりします。その上でケアプラン(介護サービス計画書)を作成し、各サービス事業者にサービス提供依頼をします。さらに各サービス事業者からの報告や、利用者や家族からの意見を参考にサービスの調整をします。ケアマネジャーは、利用者と各介護サービス事業者をつなぐ橋渡しの役割といっても良いでしょう。また介護保険の知識だけではなく、近隣の支援やボランティアなど地域特有の社会資源にも精通している必要があります。様々な角度からアセスメントを行い、利用者が安心して暮らせるようサポートをしていく役割があります。利用者の状況は、時間の経過と共に変化していきます。昨日は出来ていたことが今日は出来なくなるということが多々あります。利用者の身体的・精神的状態を見極め、どんな支援が必要か常に考えていかなければなりません。ケアマネジャーの関わり方次第で、利用者の生活の質が左右されるといっても過言ではないでしょう。

 

ケアマネージャーに必要な能力

 

ケアマネジャーにとって知識が豊富であることはもちろんですが、それと同様に大切なことはコミュニケーション能力です。利用者の中には自分自身のADLの低下が受け入れられない人や、家族以外の他者から支援を受けることを嫌がる人もいます。また家族の誤った認識のせいで、適切な介護が受けられていないケースもあります。中には暴力やネグレクトなど、高齢者虐待のような困難事例が生じる場合もあります。そのような時、ケアマネジャーは利用者や家族と信頼関係を築きながらうまくコミュニケーションをとり、適切な介護が受けられるよう促す必要があります。ただ正論を説くだけでは、利用者や家族に理解してもらえないこともあるでしょう。なぜこの介護サービスが必要なのか、今のままではどのようなリスクがあるのか、分かりやすい言葉でていねいに説明するコミュニケーション能力が求められます。

また、利用者に対するケアと同時に、介護する家族にも気を配る必要があります。核家族化がすすみ高齢者世帯が増え、介護者も高齢の夫や妻というようなケースが多々あります。そして平均寿命が延びたことにより、介護する期間が長期化しています。介護は重労働です。介護者が体調を崩すと、利用者本人の生活も脅かされます。そういったことを予防できるように、楽にできる介護技術やちょっとしたコツを伝えることも必要です。各介護サービス事業者のスタッフに、訪問時家族に対して介護技術の指導をお願いしても良いでしょう。ケアマネジャーは最低月に1回は利用者の自宅を訪問し様子を伺うという決まりがあります。しかしそれだけでは不十分です。各介護サービス事業者からも利用者や家族の様子を聞き、サービスを調整していく必要があります。自分自身の目だけでは気付かなかったことが、他の専門職の視点から問題が浮かび上がることもあります。

そして時々、介護を苦に命を絶ってしまう悲しいニュースを目にすることがあります。身体的問題だけでなく、精神的に疲弊してしまうパターンです。他人に迷惑をかけたくないあまり頑張り過ぎてしまう、援助を求めたいのに相談する人がいないなど、理由は様々あると思います。もしかすると、家族は困っていてもケアマネジャーに遠慮をして直接悩みを訴えないかもしれません。普段からコミュニケーションを密にとり、「いつもと違うな」と気付ける観察力と、優しく声をかけてあげられる気遣いが大切です。レスパイトケアという、介護者の休息を目的に短期入所できるサービスもあります。そのような情報を適宜伝えていくことも援助のひとつです。

今後さらに高齢化がすすむ日本において、質の高いケアマネジャーの援助が必要になっていくでしょう。ケアマネジャーは、介護のスペシャリストでありながら利用者や家族に一番近い存在であり、利用者本位のサービスが提供されるよう努めなければなりません。