輸液とは経静脈的に薬液を投与する方法です。経口や経腸的に摂取が難しい電解質や、栄養素、薬剤を静脈内に直接投与することで速やかな薬剤の効果を得ることが出来ます。  輸液の方法としては、上肢などの末梢血管から投与する末梢静脈法と鎖骨下静脈や内頚静脈などの太い血管にカテーテルを挿入して投与する中心静脈法があります。ここでは末梢静脈法について説明していきます。
輸液の注入量が正確を期する場合や微量の場合は輸液ポンプやシリンジポンプが使用されます。
間欠的に輸液療法を行う場合に末梢静脈ルートを確保する方法としてヘパリンロックがあります。

1目でわかるこの記事の内容!

<目的と適応>

・ 大量の薬物の投与が必要な場合
・ 薬物の投与経路や緊急時の輸液ルートとして使用する場合
・ 経口摂取分の不足を補う場合
・ 抗生物質などの薬物を投与する場合
・ 術前、術中、術後の処置に必要な場合
・ 体液の管理(水や電解質の維持・補正、循環血漿量の維持、酸・塩基平衡移乗の是正)が必要な場合
・ 毒物排泄や副作用の軽減が必要な場合

<必要物品>

・ 医師の指示に基づいた注射箋
・ 注射液
・ 混注薬剤(アンプルまたはバイアル)
・ アルコール綿(アンプルカットまたはバイアルゴム栓消毒用)
・ 注射器(混注量に適した容量を選択します)
・ 注射針(静脈内留置針と薬液混注時に使用分)場合によって翼状針
・ 肘枕
・ 駆血帯
・ 輸液セット(大人は15滴が1mlのもの、小児は60滴が1mlを使用)
・ 延長チューブ
・ トレイ
・ 医療廃棄物用容器
・ アルコール綿(患者様消毒用)またはヒビテンを浸した綿(アルコール過敏症の患者様用)
・ 透明ドレッシング(点滴挿入部位に貼付します)
・ 固定用テープ
・ 点滴スタンド
・ 手袋
・ 必要時には輸液ポンプ

<手順>

1、 患者様の準備をします。
・ 患者様にこれからどのような目的で輸液を実施するか、所要時間を説明し承諾を得ます。意識のない患者様にも声かけを行います。
・ 事前に排尿を済ませてもらいます。

2、 衛生学的手洗いを実施します。

3、 手袋を装着します。

4、 必要物品を準備します。
① まず、医師の指示に基づいた注射箋で準備した注射薬が間違いないか(氏名、 薬物名、用法、量、投与時間、投与方法、患者様のアレルギーの有無)を確認します。ダブルチェックが望ましいです。

② 混注薬剤がある場合は、注射針の包装を3分の1程度はがし不潔にならないように注射器に接続します。

③ 混注薬剤を準備します。
Ⅰ、アンプルの場合
アンプルの上部を持つかアンプルの上部を指先ではじいて薬液をアンプルの下に落とします。アンプルネックをアルコール綿で消毒します。
アンプルネックに表示されている●マークをアルコール綿で覆いマークを上にして反対方向に折ります。このときガラス片が混入しないように注意しましょう。
注射器で薬液を必要量吸い上げます。注射器をアンプルの口元において吸引し薬液が減るにしたがってアンプルを少しずつ横に傾けていくと吸引しやすいです。
Ⅱ、バイアルの場合
バイアルのアルミ蓋をとり、ゴム栓をアルコール綿で消毒します。アルコールが乾いたら注射器に薬液と同量の空気を入れます。注射針をゴム栓に垂直に差込み、注射器の中の空気をバイアルの中にいれます。バイアルを上にして必要な薬液量を吸います。必要薬液量と同量の空気を入れることにより、バイアル内が陰圧になることを防ぎ、薬液を吸引しやすくなります。

注射器を垂直に立て一度内筒を引きます。こうすることで注射針内にある薬液を外筒内に落とし適切な液量を調節できます。バイアルから薬液を吸いだした場合は針を付け替えます。
注射器を軽く指ではじき、薬液を吸い上げるときに混入した気泡を筒先に集めます。このときはじく振動で注射針を飛ばさないように注意しましょう。注射針と注射器の接続をしっかりしておきましょう。
内筒を押して空気を押し出し必要な薬液量に調節します。

④ ボトルの栓カバーをはずします。注射器に吸った混注薬剤をゴム栓に針を刺して注入します。
5、 輸液セットを袋から取り出します。
6、 輸液セットのクレンメを閉じます。必要に応じて延長チューブを接続します。患者様の生活行動範囲から延長チューブの長さや接続を考慮しましょう。
7、 輸液ボトルのゴム栓に輸液セットのボトル針を刺して輸液スタンドにかけます。
8、 薬液を輸液セットの点滴筒の3分の1~2分の1になるように満たします。
9、 クレンメをゆっくりと開き輸液ルートの先端まで薬液を満たします。このときルート内に空気がないことを確認します。
10、 患者様に氏名を名乗ってもらい本人であることを確認します。意識のない患者様はネームバンドで確認します。患者様に安楽に点滴が受けられるような体位をとってもらいます。
11、 注射部位を選択します。
注射部位として肘窩、手背、前腕部の皮静脈が選択されます。
よく使用される血管を以下にあげます。
上肢:手背皮静脈、前腕正中皮静脈、肘正中皮静脈、橈骨正中皮静脈、尺側皮静脈
橈骨皮静脈
下肢:足背皮静脈、大伏在静脈
頭部:外頚静脈
注射針を固定しやすい比較的平坦な部位で関節運動に影響が出ない部位を選びます。

 

 

12、 母指を中に握ってもらい駆血泰を上腕にまき、末梢静脈を怒張させます。肘窩より末梢の静脈に穿刺する場合は肘枕を使用します。

13、 縦6~7cm、横5cm程度の楕円を中心から通ったところは再度通らないようにしながら円を描くように消毒します。必ず乾燥させましょう。アルコールは乾燥することで消毒効果を発揮します。

14、 利き手と反対側の母指で注射穿刺部位の手前を引っ張るようにし血管を固定します。

15、 静脈留置針の断面を上に向け、皮膚と約15~20度の角度で穿刺します。穿刺後さらに静脈内へと針先を進めます。

16、 針先が血管内に入っていると少し血液の逆流が認められます。駆血帯をはずします。握っていた手を開いてもらいます。このとき手先の痺れがないか確認も行います。

17、 静脈留置針と輸液ルートの先端を接続します。このとき留置針がずれないように注意しましょう。

18、 刺入部に透明フィルムドレッシングを貼り固定します。そして延長チューブはループにして固定することでルートの抜去を予防します。

19、 輸液速度を指示通りに調節します。
輸液ポンプであれば指示の滴下数に設定します。
1分間の滴下数の計算式:総量(ml)×セットの1mlの滴下数÷時間(時)×60(分)

20、輸液速度の調節後、刺入部の腫脹や患者様の状態に変化がないか観察します。

21、終了したことを患者様に告げます。
22、ナースコールを手の届くところに置き、刺入部に疼痛を感じた場合、全身に変化が生じた場合、輸液の終了時はナースコールを押してもらうように説明します。

23、使用物品を片付けます。