怪我や病気などにより急激に大量に出血した場合、自分自身の必要な血液を作ることが出来ないような場合には血液中の各機能や量が低下してしまいます。その不足している血液成分を静脈内に注入し、必要な血液成分を補う治療法が輸血です。輸血は補充療法です。つまりヒトの血液細胞を使用することから一種の臓器移植と考えられます。輸血はきわめて有用な治療ですが、感染や免疫による副作用や合併症の危険性が伴う場合があります。
血液は大きく赤血球、白血球、血小板の細胞成分と蛋白成分や凝固因子などの血漿成分に分かれます。その中でも赤血球は体の中に酸素を運ぶ役目をしています。血液製剤はヒトの血液から作られた医薬品の総称とされています。全血製剤と血液成分製剤に分けられます。ここではその中の輸血RCCについて説明します。

輸血RCC製剤について以下に示します。
品名:赤血球M・A・P
略号:RC-MAP
保存温度:4~6度
有効期間:採血後21日間
組織:ヒト血液200mlまたは400mlから血漿および白血球層の大部分を除去し、赤血球保存用添加液をそれぞれ約46ml約92ml混和した濃赤色の液剤
規格と容量:1単位約140ml 2単位約280ml

赤血球製剤の使用基準
1,内科的適応
・ 慢性貧血の場合(Hb7g/dl以下が目安とされています)
・ 輸血を行う場合は症状が改善する最小量とされています。
・ 鉄剤やエリスロポエチンなどが有効な場合は輸血の適応外となります。

2,外科的適応
①術前投与
・ 慢性貧血の場合
・ 持続する出血をコントロールできない場合
② 術中投与
・循環血液量の喪失時
③術後投与
・ 急激に貧血が進んだ場合、外科手術とあわせて輸血を行います

輸血の種類
輸血する血液は採血者の違いで2つに分けられることが出来ます。同種血と自己血の2種類です。
① 同種血輸血とは献血の血液ように他人の血を輸血することです。
② 自己血輸血とは患者自身の血液を輸血することです。
・ 貯血式:手術によりある程度の出血量が予測されるときあらかじめ自分の血液を採取し保存しておきます。
・ 回収式:手術中に出血した血液を回収し、洗浄・濃縮して返却します。
・ 希釈式:手術直前に麻酔科医の管理下で自己血を採血し、等量の代用血漿で置換します。
自己血を使用することで感染症や免疫反応による副作用や合併症のリスクを減らすことが出来ます。しかし、自己血といっても完全に安全なものではなく、血液採血時の副作用があります。また、採血や保管管理の不備による常在勤の繁殖、製剤の取り違えといったヒューマンエラーの可能性もあります。

輸血量の必要計算方法
血液製剤の1単位は献血された血液200」mlから得た製剤のことです。赤血球M・A・Pは1単位140mlでHb30gを含んでいます。
たとえば体重60kgの成人の循環血液量は60kg×70ml(体重1kgあたりの循環血液量)=4200ml=42dLとなります。これに赤血球M・A・P1単位を輸血するとHb30g÷42dL(循環血液量)=0.71g/dLとなり約0.7g/dLのHbが増加することになります。

治療目標
① 内科的疾患
・ 慢性貧血の場合はHb7g/dL程度を目標にします。しかし、輸血後Hbを10g/dL以上にする必要はありません。
② 外科的疾患
・ 手術中のHbは7~8g/dLあれば全身に酸素を供給するには十分といわれています。
・ 手術後は8g/dLあれば十分とされています。

輸血の副作用
自覚症状として胸内苦悶、胸痛、背部痛、悪寒戦慄、呼吸困難、皮膚掻痒感、血管に沿った熱感、腫脹や疼痛があります。
他覚症状として顔面紅潮、チアノーゼ、発汗、発疹、血圧低下、不整脈、ショックがあります。