【感染予防の意義】

・感染とは、病原微生物がいろいろな形態で生体内に侵入し、組織内で増殖し、寄生状態が成立することです。特に病院等の医療機関等では外来診療者や入院患者の中には感染源となる可能性の患者が存在するので、感染する機会は多いと言えます。一方、病院等の医療機関等では新生児や未熟児等の抵抗力のない患児や免疫不全の患者、さらに外傷、熱傷、手術後の患者等、感染しやすい状態にある患者も多いです。

・感染しやすい状態の患者に対して感染源となるのは、感染症の患者だけでなく家族や見舞客等の外来者が外部から病原微生物を持ち込む場合も多いです。さらに医療従事者が風邪を引いても感染源となります。これに加えてMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の院内感染にみられるよう患者に接する前の手洗い不備や環境、器具の取り扱い不備等も感染の原因となります。

 

・病院等の医療機関等では、いたるところに感染源があり、感染の機会があります。これらの感染を予防するために、看護師にとって感染予防に関する知識と技術を身につけることが不可欠です。さらに日常のケアにおいて徹底した感染予防対策と看護技術が求められます。

 

【感染予防の原則】

①病原体を除去することです。

②病原体の人体の侵入経路を遮断することです。

③個体の抵抗力を増強することです。

 

感染を予防するためには、滅菌、消毒を十分に行い、病原体を除去し、隔離法や無菌操作に関する技術を駆使して病原体の侵入経路を遮断します。加えて、免疫を作り、栄養のバランス、休息、睡眠、日常の運動や行動、精神的ストレスに留意して健康の保持増進につとめ、抵抗力を増強することが必要です。また、病院内では院内感染を予防するための組織的な管理体制と対策が必要です。

 

【感染予防に関する主な用語】

・清潔:人体を含む全ての物体の表面に病原生物が付着していない状態です。

・汚染:人体を含む全ての物体の表面に病原生物が付着している状態です。

・滅菌:

物質中の全ての微生物を殺菌または除去することを言います。滅菌された状態を無菌と

言います。殺菌は微生物を死滅させることです。

・消毒:

人畜に有害な微生物、また目的とする対象微生物だけを殺菌することです。従って、消毒

した後も非病原微生物が残存していても消毒は認められます。汚染した物品や排泄物を

ただちに消毒する場合を即時消毒と言い、一般に消毒するといっているのはこの即時消

毒を意味しています。一方、患者が治癒、死亡等によって患者の 使用した物品を食毒す

ることを終末消毒と言います。

 

・無菌操作(法):

使用物品や適用部位を滅菌状態に保ちながら、手順よく処理することです。その扱い方を

無菌操作(法)または滅菌操作(法)と言います。この操作は、操作する者の手や鉗子等

の器械器具を用いて行いますが、無菌状態に保つ部位に触れる手や器械器具等も無菌状

態でなければなりません。

 

・隔離:

一般には感染症患者を感染させる危険性のある期間、他者に感染させないように他の場

所に引き離しておくことです。この感染を防止するための隔離のほか、白血病や臓器移植

等をした患者等、感染しやすい状態にある患者の感染を予防するために行われる隔離、自

傷、他害等の恐れのある患者を他の患者の事故防止のために他の場所に移す場合も隔離

と言われます。

 

・汚染区域:

感染症によって汚染されている区域で、感染症患者のいる隔離室も含まれます。

 

・無菌室:

HEAPフィルターを用いて無菌状態にした部屋で無菌管理の必要な臓器移植の手術室

やその患者を隔離するための部屋です。

 

・スタンダードプリコーション(標準予防策):

全ての患者に対して適用される感染予防対策のことであり、血液や体液、分泌物、排泄物、

汚染物を感染の可能性があるものと考えて取り扱うことです。実際的には、手袋等のよう

な防護具の使用や通常の石鹸による手洗い、使用済みの器具等の処理、針刺し防止や患者

の感染に関する管理等の予防対策からなります。

 

・ユニバーサルプリコーション(普遍的予防策):

主として血液中のウイルスによる感染を防止する目的でとられた感染対策のことです。

特定の感染起因菌が検出された場合や疑われた場合に適用されます。B型肝炎ウイルス、

HIV等がその対象です。