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ある時ふと、なんで自分はこの仕事をしているんだろう?

そう思う時は誰にでもあると思います。

今の仕事にやりがいが持てない。

今回記事を書いていただいた看護師Rさんも、そんな思いを抱えながら仕事をしていた看護師の一人でした。

まったくやりがいを持てなかった新人時代

 

271544s私は看護師の短期大学で3年学んだあと、免許を取得した方がいいだろうと特に目指すものもなく何となく、保健師助産師専門学校に通い、国家試験を受験して幸いにも合格。それなに順調に進学できたため、就職するまで、あまり大きな将来の目標も持てていませんでした。

就職したのは大きな公立病院。教育制度もしっかりしていて、同時に入職した同期が150人以上いました。そんな大きな病院ですから、技術指導もしっかりしていましたし、先輩ナースも厳しかったです。

就職して1年目は、叱られるばかりだったし、何をするにも先輩に聞かなくては自分でできず、本当に自信が持てずに情けない自分でした。長年経験を積んできたいろいろな先輩を見ては、自分はいつあんな風にできるんだろう。いつもそう思っていました。

 

コミュニケーション能力も高く、提供する看護技術がよいと、患者さんも安心して信頼関係も築きやすくなります。私は患者さんとの密接な信頼関係を築くことができずにいたため、本当に自信を無くしてしまっていました。

1年が過ぎ、何も成長できていないと感じるまま2年目へ。2年目からは多少業務に慣れてきたのですが、自ら責任を持って何かをするということがまだまだ恐怖でした。

 

 

やっと感じたやりがいの瞬間

 

ある時、受け持った患者さんが重症な長期入院の患者さんで、そのかかわりや経過を看護研究で発表することに決まったのです。私は時間の許す限り、一生懸命患者さんに接し、ずっと頭は患者さんのことでいっぱいでした。どうか1日でも早く良くなってほしい。そう願って看護研究にもプライベートな時間も割いて打ち込みました。その結果、患者さんとその家族から感謝され、今までに味わったことのない信頼関係を築くことができたのです。その患者さんとは、年賀状もやり取りするようになり、退院後も関係が続いています。私は就職してから3年目にしてやっと、看護師としてやりがいを感じることができたのでした。

 

人は健康で産まれて、健康で生活で来ている時には分かりませんが、病気になって初めて味わう苦悩があります。そこに寄り添うことができ、専門的なサポートができる私たちの仕事は、誰にもできる簡単なものではありません。その特異性、専門性とやりがいは、やった人にしか分からないのです。

病院の中、施設の中は世間から見ると特殊な環境だと思います。

すべて病気と闘っている人を相手にするのですから、看護師だって疲れることもあります。夜勤をこなし、病気の人に接するために費やすパワーは並大抵ではできません。看護師自体も健康でなくてはできない仕事です。

それを何なく毎日こなしている人は、本当に凄い人材だと思います。

 

 

やりがいは別の方向へ

 

経験年数が経つと、患者さんとのコミュニケーションもうまくとれるようになり、業務もある程度できるようになっていきました。そうすると別の欲求と疑問が自分の中に湧き上がってきたのです。

それは、本当に今のままでいいのか?もっと専門性を磨くべきじゃないか?自分はずっとこのままこれでいいのか?

それは、患者さんから関連する他分野のことを質問された時、十分答えられなかったり、自分の将来を考えたりした時に考えるようになったのです。

 

結局、私は全く病院も科も違うところに転職してしまいました。そこではまた新たな試練が待っており、同じ看護でも今までとは大きく異なった環境でした。最初は転職を後悔しました。なぜなら、今までやったことが活かされないと感じていたからです。でも、それは短絡的で間違っていました。何年か働くうちに、以前の知識や経験がどんどん自分の身体の動きと一緒に活かされるようになってきたのです。転職してから数年は、やはり業務や環境に慣れることで精一杯でしたが、その後、災害派遣チームに選出され研修を受けることになったのです。それからは、どんどん専門性が磨かれることを実感でき、本当に仕事が面白いと思えるようになりました。

もちろん、患者さんとの日々の会話も楽しく、業務も確実にこなし、意識のない患者さんにも安全な技術とコミュニケーションやタッチングを行いました。自己満足の世界かもしれませんが、自分ができる最高の技術を提供できていることが一番のやりがいとなったのです。

 

忘れられない師長のことば

 

最初に就職した2年目の時に、私は仕事中にミスをしてしまったことがありました。師長と話し、私にはもう看護師のやりがいも感じられないし、自分は看護師に向いていないから辞職したいと伝えたのです。その時、師長が言ったのは、「今ここで辞めてしまったら、他のところでも諦めてしまうよ。もう一度頑張ってみなさい。」でした。私は、もう二度と同じミスを繰り返さないように、自分の行動を改善し、気持ちも立て直しました。師長のことばがなければ、私は諦めてしまい、やりがいも感じられなかったことでしょう。

やりがいを感じる瞬間は、人それぞれだと思います。患者さんとのたわいない会話、同僚からのちょっとした励まし、患者さんからの感謝の言葉、レベルアップした自分の技術を実感した時など、本当に様々でしょう。一つ言えるのは、続けていれば、いつかは日常の小さな喜びや出来事をやりがいに変えていけるということではないでしょうか。