日本はギリシャなどと並ぶ「公務員天国」と称される国の1つです。
公務員は民間に比べ著しく給与水準が高いことが知られ、年金や社会保障の枠組みも民間と異なり優遇されています。
地方公務員の年収は700万を超えており、手当なども厚く、現代の特権階級と言ってもよいでしょう。
若者たちは公務員試験に合格するために予備校に通うなど日夜努力をし続けている訳ですが、倍率などがとても高く、なかなか試験には受かりません。
*試験科目はざっと20種類ほど
地方の公務員採用試験などはコネが平然とまかり通っており、大分県の教員採用試験で発覚した不正(本来合格していたはずの教員志望者を落とし、担当者に賄賂を贈った教員の子供を合格とさせた)に代表されるように試験の公正性などはもはやありません。
このような例は氷山の一角なのでしょう。このような方法で教員になった人間が、いったい子供に何を教えるのでしょうか?
まるで中世の貴族制度や士大夫層のような勢力を形成している公務員層ですが、看護師が公務員になるのに難しい試験を受ける必要もコネも(特には)必要ありません。
今回は看護師が公務員になる方法についてみていきましょう。
1目でわかるこの記事の内容!
公務員看護師は公務員に準ずる扱いである準公務員
看護師は、特に試験もなく一部の機関に採用されれば基本的に公務員に準ずる準公務員扱いされます。
*検疫官など一部資格が必要になる場合もあります。
公務員に準ずる扱いとなる看護師の職場は以下の通りです。
国公立病院
国公立の教育機関
地域包括支援センター
保険センター(保健所)
障碍者施設
国公立病院
1昔前でしたら、国立病院の看護師は国家公務員としての扱いだったのですが、現在国立病院は独立行政法人となっているため、その職員は公務員に準ずる扱いである準公務員となっています。
そのほか県立病院や市立病院などの公立の医療機関も公務員に準ずる扱いとなります。
国公立の教育機関
国公立の保育園や小中学校、高校大学などの保健室で働く看護師も公務員に準じた扱いとなります。
主な仕事としてはケガの応急処置や衛生管理、健康相談の対応などを行います。
ちなみにですが、小中学校などのいわゆる保健室の先生は看護でなくともなれます。
地域包括支援センター
聞きなれない方もいらっしゃると思います。
地域包括支援センターというのは、高齢者の生活を支援する機関で、市町村が経営しているケースと民間企業が市町村から委託されているケースが存在しています。
準公務員としての待遇を受けられるのは市町村などが運営している場合ですので転職する場合は気を付けましょう。
仕事内容としては、医療行為などはほぼ行わず介護予防サービスの計画作成や利用者への対応などとあっており、夜間勤務はほぼなく残業なし土日休みとなっている施設がほとんどです。
保険センター・保健所
保健所および保健センターは、地域保険法によって設置されているという共通点を持ちます。
保健所は広域的・専門的なサービスを実施し、保険センターは市町村において住民に身近なサービスを行うと定義されています。
これだけだと違いが分かりにくいのですが、保健所が設置できるが都道府県・東京都区・保健所政令都市であり、所長は医師でないとならないのに対し、保険センターは市町村単位で設置、所長は必ずしも医師である必要はないという違いがあります。
業務としてはそれほど変わらず、利用者の対応や予防接種、健康相談に健康診断などを行います。
健康診断の際は注射や採血などを行うため医療行為も業務内容に含まれます。
基本的には日勤のみ、土日休みで残業も発生しにくい職場だと言えます。
障碍者施設
こちらも市町村が運営している障碍者施設が準公務員扱いとなります。
地域包括支援センター同様民間への委託が増えており、準公務員としての求人はかなり少ないと言えます。
障碍者施設には知的障碍者を対象とした「知的障碍施設」と身体障碍者を対象とした「身体障碍者施設」が存在しており、医療行為を行うことはそれほど多くありません。
そのため、ブランクのある看護師にはおすすめの職場だと言えます。
国家公務員扱いの看護職
準公務員ではなく国家公務員としての扱いとなる職場も存在しています。
国家公務員としての資格を有する職場
刑務所
空港(検疫官)
自衛隊
国立ハンセン病療養所
刑務所
受刑者の高齢化はもとより日本の犯罪数が増え続けている現状から刑務官の負担減少に対する法務省の取り組みの一環として刑務所にて看護師・保健師を雇用しています。
刑務所には一般刑務所の医務室と医療刑務所の医務室勤務の2通りが存在しています。
一般刑務所内では受刑者の体調不良及びケガなどへの対応を、医療刑務所では一般の病棟と同じような医療行為が要求されます。
刑務所というと危険性が高いように思われますが、各種処置をする際には必ず刑務官が立ち合いますし、国家公務員災害補償法の適用も受けられるためある意味では一般的病棟勤務よりも安全性が高いといえるかも知れません。
空港(検疫官)
検疫官に関しては厚生労働省が募集をしています。
以前より空港で働く看護師はおり、空港の利用客に対して予防接種や健康相談などの業務を行っていたのですが、SARS問題が深刻化するにつけ検疫官としての仕事が重視されることとなりました。
よって、検疫官の仕事は空港や港、検疫所などで検疫感染症に対する検疫業務とあります。
検疫業務とは海外から日本へ来た人たちが感染症にかかっているかどうかを検疫、すなわちウィルスの国内への持ち込みを防ぐ専門性の高い業務となります。
自衛隊
参考:陸上自衛隊看護師募集
迷彩の天使などとも呼ばれる職種です。
今でこそ女性自衛官の数も増えましたが、もともと自衛隊で働く女性といえば女性看護師というほど昔から(昭和27年以来)ある職種です。
自衛隊看護師の身分は看護師以前に自衛官となり、防衛省の職員となります。
そのため、他の看護師職種と違い基本的には「防衛医科大学(看護学科)」を卒業するか、「自衛隊中央病院高等看護学院」を卒業する必要がます。
もっとも、一般看護師を採用することもあるため必ずしもそれらの学校を卒業している必要はありません。
業務内容に関しては一般病棟と同じ業務内容と言えますが、自衛隊員ですので災害救助活動などを行うことがあり、場合によってはPKO(平和維持活動)などに従事する場合もあります。
国立ハンセン病療養所
ハンセン病の後遺症に苦しむ患者さんの看護をする施設で、全国に13施設存在しています。
公務員看護師になりそうでならない職場
警察病院勤務の職員は公務員のように見えますが、実は経営母体は民間となっており、公務員としての扱いはありません。
公務員(準公務員)看護師として働くメリットとデメリット
メリットとしては
福利厚生が充実している
職場によっては夜勤なし・土日休み
信用度の高さ(住宅ローンなどの借り入れに有利)
といった点があげられます。
家を借りる際や購入する際、クレジットカードやカードローンを利用する際など公務員(準公務員)としての地位は大変信用度が高くなっています。
逆にデメリットとしては
研修が多い場合がある
求人数がとても少なく非公開である
という点が挙げられると思います。
国立病院などは常に最先端の医療を行う必要があり、研修なども自然多くなっています。
また、最大のデメリットとしては求人が表に出ないという点があるでしょう。
日本全体公務員大好き国民と化しているため、求人を出した瞬間にものすごい応募数となり医療施設側が対処しきれなくなってしまうため、多くはいわゆる「非公開求人」としてひっそりと募集されます。
ですので、ハローワークやナースセンターなどで公開求人として表に出ることは少なく、転職サイトなどに登録を求人がないかどうかを確認することが肝要となります。