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看護師の活躍の場は病院だけとは限りません。

およそ6割の看護師は病院に勤務していると言われていますが、近年では高齢化に伴い介護施設で働く看護師の数も増えています。

夜勤などがほとんどない介護施設での看護に興味がある方も年々増えてきていると言えるでしょう。

そこで、今回は病院と介護施設における看護業務についてのお話です。

248660s病院勤務をしている看護師にとって、施設での看護業務とは一体どんなものなのか分かりにくいと思います。

実際私が勤務したことのある、総合病院の入院病棟と有料老人ホームの業務の違いについて説明していきます。

 

・対象者の違い

 

病院に入院している方はもちろん何らかの疾患を持っていて治療の必要がある患者様となりますが、施設の場合は疾患のあるなしに関係なく、介護が必要な高齢者は全て入居対象者となります。

また、施設の中でも有料老人ホームの場合は、介護度に関係なく自立の高齢者も入居されています。

 

・目的の違い

 

病院の場合は治療が第一の目的となりますが、施設の場合は生活の場であることに主体を置いています。

したがって、治療目的の身体拘束をすることはほぼありません。

また、可能な限り在宅での生活に近づけるため、不必要な尿道留置カテーテルの使用や持続点滴も行いません。

経口摂取が困難となったものの施設での生活を望まれている方の多くは、胃瘻を造設し経管栄養での栄養摂取方法に切り替わっています。

病院ではベッド上で食事の介助が行われることも多いと思いますが、施設の場合は生活の場であることに重点を置いているため、容態が悪い時以外はほとんどの方が離床して食事の摂取をしています。

また、認知症の進行予防やADL低下予防のため、毎日体操やレクレーションが行われます。

施設によっては、シアタールーム、カラオケ設備、茶室、ビリヤードや卓球設備、リハビリ設備を備えた施設もあり、入居者様が外出せずに趣味を楽しめるような工夫がされています。

生活の場であるため、経口摂取が困難となった際に本人や家族が胃瘻の造設を望まない時や老衰が進んだ時は、居室でのお看取りを行うこともあります。

お看取りの際は、本人や家族へ終末期の迎え方についての希望を十分に聴取し、可能な限り希望通りの最期を迎えられるようにスタッフが一丸となってケアにあたる必要があります。

 

 

・設備の違い

 

 

病院には治療上必要なあらゆる設備が整っていますが、施設は生活の場であるため病院のような治療に必要が設備は備わっていません。

したがって、基本的に点滴加療や酸素投与、持続的な吸引が必要な方は医療機関へ受診もしくは入院していただく必要があります。

しかし、慢性的な肺疾患や心疾患等で生活をしながらの酸素投与が必要な方は在宅酸素の機器と酸素ボンベを居室に導入し、酸素投与を受けながらの生活を行うことも可能です。

施設では原則週に2回の入浴が行われますが、入浴も入居者様のADLに合った方法で行われます。

設備としては、個浴、大浴、機械浴(座浴とストレッチャー浴)があり、介護度やその時の状態に応じて入浴方法を変更しています。

 

・スタッフの違い

 

病院では、治療や検査に必要な医師、検査技師、レントゲン技師、薬剤師、ケースワーカー等の様々な職種の方が働いていますが、施設で働いている職員は生活上で必要な介護スタッフの他、ケアマネージャーや看護師で成り立っています。

 

・看護業務の違い

 

 

入院病棟では、排泄ケアから食事介助まで、あらゆる身体介助も看護師が担っている場合が多いですが、施設では看護師が身体介助を行うことは少なく、食事・排泄・入浴等のあらゆる介助を介護スタッフが行います。

したがって、看護師は看護業務に専念できる環境にあります。

実際の看護業務としては、薬業務・処置業務・リーダー業務に日替わりで分けられており、勤務中は担当に分けられた業務を行います。

病院では、内服のセットや管理は病院の薬剤師が行っている場合が多いと思いますが、施設の場合は看護師の役割となります。

施設によっては、施設で契約している外部の薬剤師が介入して薬のセットを行っている施設もあると思いますが、外部の薬剤師の介入がない施設は原則看護師が全て入居者様の内服薬の管理を行います。

管理方法は施設によって様々ですが、主に一包化されている内服薬をそれぞれの入居者様の服用日・服用時間にセットしていきます。

実際に服薬介助を行うこともありますが、一包化されている内服薬に関しては介護スタッフも服薬介助を行うことが出来るため、必ずしも看護師が介入する必要はありません。

処置業務は、主に創傷処置や胃瘻栄養の管理、インスリン注射が必要な方の皮下注射、単発的な吸引等を行います。

病院で行う処置と大きな変わりはないため、新しく施設で働き始める看護師は一番最初に任される業務です。

採血や単発での点滴等の医療処置は往診医や往診付き添いの看護師が行うため、施設の看護師が行うことはほぼありません。

リーダー業務は入院病棟のリーダー業務と似ている部分もありますが、最も違う部分は外部とのやり取りが多いことだと思います。

業務内容としては、往診医からの指示を受け、それを介護スタッフ等の関係部署に伝達すること、体調の優れない入居者様の状態観察を行うことが主な業務になります。

しかし、病院の場合は体調不良者の状態を医師に伝達し医師から指示を受けることが基本的な流れになりますが、施設の場合は医師が常駐しているわけではなく、医師へ報告して指示を受けることで入居者様へ別途指示料として追加料金が加算されてしまいます。

そのため、突発的な体調不良の場合は医師の指示・診察が必要な状態であるのかを見極める必要があります。

また、診察が必要な状態で医師に報告しても、往診医が施設に到着するには時間を要してしまう場合も多いため、緊急性のある場合は往診医は介さずに直接救急車を要請することもあります。

救急車の要請や受け入れ病院の調整等も基本的に看護師が行うこととなりますので、急変時は他の看護師とも協力して業務にあたる必要があります。

他にも、入院していた入居者様が退院して施設に戻ってくる際には、入院先との情報交換は基本的に看護師が行います。

リーダー業務はある程度施設の状況や入居者様の情報を把握していなければ出来ない業務であるため、基本的に処置業務、薬業務が出来るようになってから任される場合が多いです。

 

簡単ではありましたが、入院病棟と有料老人ホームの違いについて説明していきました。

施設によって業務内容に違いがあるため、全て説明の通りではない場合もあることをご了承下さい。

 

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