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今回は放射線治療について解説いたします。

1. 放射線とは

 

放射線とは目に見えない高エネルギーの光電磁波や、高い運動エネルギーをもって空間を飛び回っている小さな粒のことです。自然の放射線はいつも私たちの周りにも飛び交って私たちの体に当たっています。

放射線治療での放射線の種類は波としての性質を持つ電磁波(光子線ともよばれる)と、粒子としての性質を持つ粒子線に分けられます。 電磁波の中にはエックス線、ガンマ線、ラジオ波、赤外線、紫外線などがあります。放射線治療には主にエックス線やガンマ線が使用されます。

粒子線治療では重粒子線や陽子線、中性線が使用されていますが、治療施設に多額の費用が掛かることもあって、ごく一部でしか利用されていません。

 

2. 放射線治療と手術、薬物療法との違い

 

放射線治療は、がんの部位に放射線を当ててがん細胞を破壊して消滅させたり縮小させたりする治療です。設備が特殊な環境下で行われますが、安全で効果の高い治療です。 放射線治療の最大のメリットは手術によって切除することなく、臓器をそのままに残してがんを治療できることです。手術より、体への負担が小さくて済みます。

また、薬物療法(抗がん剤治療)は薬物を全身投与することになりますが、放射線治療は狙った部位のみの治療が可能になります。 がん治療のため、放射線治療のみ単独で行われることもありますが、手術や薬物療法と併用して行われることもあります。

 

3. なぜがんに効く?

 

がん以外には? 放射線は細胞が分裂して増えるときに、細胞が増えないように作用したり、消滅させたり少なくしたりする作用があります。放射線治療はこの作用を利用してがんを治療します。

がんの種類によって効果は異なりますが、細胞分裂が活発で早く大きくなるがんには放射線治療による効果が期待でき、進行の遅いがんには効きにくい傾向があります。 正常な細胞にも放射線の影響はありますが、がん細胞に比べて修復する力があるため、正常細胞の受けるダメージは少なくて済みます。

また、骨転移による痛みや、脳転移による神経症状を和らげる治療にも使用されます。ガンマナイフ治療では脳腫瘍や脳の深部にある血管の奇形などの治療も可能です。

 

4. 放射線治療の方法

 

体の外から当てる「外部放射線治療」と、体の内側から当てる「内部放射線治療」があります。

その両方を組み合わせた治療方法もあります。

照射中に痛みがあることはありません。

外部放射線治療は、がん細胞の部位に狙いを定めて、体の様々な角度から放射線を照射する治療です。

治療部位に目印をつけて2週間~10週間程度、毎日がん細胞に放射線を照射します。

内部放射線治療は放射線源を体内に入れる方法で、体の中のごく狭い範囲で高線量の放射線治療が行えます。

 

5. 放射線治療中の生活で気を付けること

 

放射線治療は手術のような入院を必要とせず、通院で行うこともできます。

仕事を続ける人もいますが、治療中の生活に無理が生じないよう、十分な休息や睡眠がとれるようにします。

食事は消化吸収が良く、栄養価の高いものをとります。放射線を当てている部位は刺激に弱くなっているので、清潔に保ち直射日光の当たらないように注意しなければなりません。

 

6. 放射線治療の副作用とその対策

 

・倦怠感

疲れやすくなり、体がだるい感じが続きます。過度な運動を避けて、ゆっくり休養がとれるようにします。治療を終了して数週間すると倦怠感は解消します。

・食欲減退

腸に放射線が当たることにより粘膜が炎症を起こす直接的な原因のほか、治療へのストレスが原因で食欲が減退することがあります。放射線により障害を受けた正常な細胞の修復のためにも普段以上に栄養のある食事を心がける必要があります。消化が良く、カロリーのあるものを少量ずつ分けて食べるなどします。

・放射線照射部位の皮膚トラブル

照射部位が日焼けしたような発赤が現れたり、乾燥、掻痒感を伴うことがあります。傷の入らないよう注意し清潔に保ってください。

・嘔気

腹部への照射の場合に胃や腸の粘膜が炎症を起こして嘔気が出現する時と、頭部への照射の場合に嘔気が出現する場合があります。吐き気止めの薬が処方されることもありますが、食べられるものを少量ずつ無理せずに摂取するようにします。

・下痢

腹部への照射により、下痢や軟便になる場合があります。刺激物を避け消化吸収の良い食事をし、脱水を起こさないよう水分補給をします。整腸剤や下痢止めなどの薬が処方されることもあります。

・口腔内の乾燥、口内炎

頭頸部のがんで口腔や咽喉部に放射線を照射した場合、口渇感や嚥下困難感、口内炎などの症状が現れます。食事は硬いものや熱いものを避け、粘膜への刺激を減らします。こまめにうがいし口腔内の乾燥を防ぎ清潔を保ちます。歯ブラシは柔らかいものを使用すると口腔内の粘膜への刺激を減らせます。抗炎症効果のあるうがい薬や塗り薬などが処方されます。

・脱毛 頭部への照射の場合、照射部位の頭皮の皮膚トラブルや脱毛などがあります。洗髪時はぬるめのお湯で地肌を優しく洗います。直射日光を防ぎ、乾燥に気を付けるなど頭皮を保護する必要があります。脱毛が始まったらウイッグや帽子などを活用します。治療が終われば多くの場合再び生えてくるので不安を抱える必要はありません。

 

7. 放射線治療の効果

 

効果の判定には画像検査や血液検査など各種検査が行われます。病状により差がありますが、効果の判定にはしばらくの期間が必要となります。がん細胞が死に始めるには数日から数週間かかります。そして放射線治療が終了してからも数週間から数か月かけて死滅していきます。通常は治療終了後1~2か月で効果判定することが多いようです。