胸腔ドレナージは、何らかの原因で胸腔(臓側胸膜と壁側胸膜で閉鎖された本来陰圧の体腔)内に滲出液や分泌液、血液や空気が貯留した場合、胸腔にドレーンを挿入し、人工的にこれらを体外へ(排液、排気)させ、胸腔内の生理的な状態を回復する方法です。

排液の場合と排気の場合では、胸腔ドレーンの位挿入部位や使用される大きさが異なります。

排液の場合

 

  • 中腋窩線上の第5肋間か第6肋間から挿入されます。
  • これは体液が胸腔の最も低い場所に貯留するためです。
  • 排液が血液の場合は凝固してドレーンが閉塞する可能性があるので、サイズの大きいドレーンを使用します。20~24Frが選択されます。

 

排気の場合

  • 中腋窩線上の第2肋間か第3肋間から挿入されます。
  • これは空気が胸腔内の上部に貯まるためです。
  • 気体を排出するため、排液より小さいドレーンが選択されます。12~18Frが選択されます。

 

排液ボトル、水封ボトル、吸引圧調整ボトルをつけた場合を3ボトル方式といい、これが一つにまとまったディスポセットをチェストドレナージバックといいます。排液量の測定、排液の廃棄、吸引圧の調整が簡単に1つのバックでできます。そのため開胸手術後によく使用されます。吸引は中央配管にある吸引口に吸引圧調整バルブを取り付けて行います。

チェストドレナージバックの一つとしてキューインワンなどの持続吸引装置があります。

 

 

<目的>

  • 胸腔内に貯留した滲出液や分泌液、血液や空気を体外に排出させます。
  • 吸引装置を用いて虚脱した肺を一定の圧で吸引することにより再膨張を促します。

 

<適応>

  • 気胸、血胸、膿胸、胸水
  • 結核性胸膜炎、肺炎や炎症に伴う反応性の胸水
  • 癌性胸膜炎
  • 心不全に伴胸水
  • 開胸手術後

 

<胸腔ドレナージ中の看護>

 

 

1:排液の性状、排液量の観察をします。

 

・開胸手術直後や外傷性血胸では排液が血性の場合、100~200ml/時の排液量が持続すると再手術や止血術の検討が必要になるため、頻回に観察を行います。

 

・胸腔ドレーン内およびドレナージバッグの排液槽(a)に貯まっている排液の性状や色を観察します。

 

2:吸引圧の観察をします。

 

・ドレナージバッグの吸引圧調整層(b)の水位が下がっている場合は水を補充し、指示通りの吸引圧が保たれるようにします。

・ 吸引圧は-12~15cmH2Oで設定されます。

 

3:エアリークの有無と程度を観察します。

・肺からのエアリークがあると、ドレナージバッグの水封室(c)に気泡が発生して、確認が出来ます。

 

4:脱落や進入の予防をします。

 

・ドレーンが引っ張られたり、体内に押し込まれていると、度連の先端の挿入位置が変わってしまい目的部位の吸引が出来ません。固定は最低2箇所としドレーンのある部位にマーキングを行い、ドレーンの抜けや進入がないか観察を行います。

 

 

5:ドレーンの屈曲や閉塞を予防します。

 

・粘ちょう度の高い排液がある場合はドレーン内腔の閉塞が起こりやすいため、適宜ミルキングローラでミルキングを行います。

・チューブが折れ曲がっていないかねじれていないかを観察し、ドレナージバックの位置や固定テープの固定位置に注意します。

・ドレーンの接続管の長さは体位変換できる長さにします。

 

6:感染皮膚トラブルを予防します。

 

・ドレーンを固定するテープによる皮膚損傷も感染の原因となるので、固定の位置を変えたり、ドレーンにガーゼを巻いて皮膚への直接的な刺激を少なくして皮膚を保護します。

・ドレナージバックからの逆行性感染の危険があるので、ドレーンの先端位置がドレナージバッグより低くならないように注意します。

・患者様の搬送時には、鉗子でドレーンをクランプして逆流をふせぎます。

 

7:皮下気腫の有無と程度を観察します。

 

・皮下気腫は胸腔内の空気が皮下に進入し、ドレーン挿入部周辺に起こります。

・ドレーン挿入部周辺の皮膚が雪をつかんだような感触(握雪感)として触れれば皮下気腫となっています。マーキングを行い観察をしましょう。

 

8:患者様に説明をします。

 

・患者様に胸腔ドレナージの必要性、留置期間、ドレーン挿入部に触れない、引っ張らない、ドレーンを圧迫しないよう説明を行います。

・ドレナージ中は活動を制限されるため、患者様の安全安楽を第一に考え苦痛が最小限になるように心理的サポートも行います。