吸引とは体空腔内や管腔内に貯留した浸出液や分泌液、血液などを他動的に体外へ排出する方法です。吸引には、いろいろな種類や方法があります。通常多く行う吸引は、気道内の分泌物を排出させる一時的吸引と、体空腔内や管腔内に貯留した血液、体液などをドレーンを挿入して一定期間低圧力をかけて体外に排出させる持続的吸引があります。

ここでは一時的吸引として口腔内吸引を取り上げていきます。

気道内に分泌物が貯留すると、気道閉塞を起こしたり、呼吸路が狭くなって換気量が低下します。そこで酸素不足になることを防ぐために適宜吸引を行います。

 

大量の気道分泌物があるのに、咳を誘発できず自力で喀出出来ない場合(意識のない人、衰弱、脳出血、頭部外傷手術後等)や痰がねんちょうで喀出困難な場合に口腔吸引を行っていきます。

 

1目でわかるこの記事の内容!

<必要物品>

 

  • 吸引器(少量の水道水を入れる)・吸引用ゴム管・吸引用カテーテル(12Fr,14Fr)
  • 吸引用カップ・アルコール綿・ゴム手袋・膿盆

 

 

吸引器の名称

 

  1. 真空圧力計
  2. 吸引圧調節ダイアル
  3. 吸引用ゴム管接続口
  4. 吸引ボトル
  5. 降圧管
  6. アダプター
  7. 吸引用アウトレット
  8. 水道水

 

<手順>

 

1、 物品を準備します。

① 吸引ボトルに少量の水道水または0.2%程度の低濃度の消毒液を少量入れます
(吸引ボトルへの痰のこびりつきを防止するためです)

② 吸引機を中央配管のハンガーに接続し、アダプターをアウトレットに差し込みます。

 

③ 電源のスイッチを入れたとき、作動音に異常はないか確認します。

④ 吸引機の圧力調節ダイアルを回し、吸引用ゴム管の先端を指でふさぎ真空圧力計のメーターは上昇するか確認します。

2、 患者様の準備をします。

① 患者様に吸引の説明を行います。意識のない患者様にも必ず声かけをしましょう。患者様とご家族に承諾を得ます。

② 口腔内吸引では、顔を左右いずれかに向けてもらいます。意識のある患者様には下を前に出してもらうと咽頭腔がひろがりカテーテルを挿入しやすくなります。
顔を横に向けることで、気道が閉じ吸引で誘発される可能性のある吐物をふせぐことができます。

3、 衛生学的手洗いを行います。

4、 両手にゴム手袋を装着します。

5、 カテーテルの封を3分の1程度開け、カテーテルの先端が不潔にならないように、吸引用ゴム管接続口に吸引用カテーテルを接続します。

6、 カテーテル接続部を折り曲げ、吸引圧調節ダイアルを回し吸引圧を200mmHgに調節します。
吸引圧200mmHg⇒鼻腔から気管支までは粘膜と粘液で覆われており、高い吸引圧では粘膜にカテーテル先端が吸着し、損傷する危険性があります。

7、 カテーテルのすべりを良くするために少量の水道水を吸引します。

8、 カテーテル接続部を聞き手の反対の手の母指押さえて吸引圧を調節し、利き手はカテーテルの先端から5cm付近を持ちます。

9、 カテーテルを口腔内から咽頭部まで挿入します。咽頭後壁を強く刺激すると嘔吐を誘発します。食後の吸引時は強く刺激しないよう特に注意しましょう。奥歯と頬の間、下の上下と周囲、唇と前歯の間の吸引も効果的です。

10、 カテーテル接続口を押さえている母指をはなし、カテーテルを回転させながら吸引します。1回の吸引時間は10~15秒とします。吸引は分泌物だけでなく、気道内の酸素も吸引してしまうため長時間の吸引は低酸素状態を招く危険性があります。

11、 カテーテルを抜き取ったら付着した分泌物をアルコール綿でふき取り、水道水を吸引し水道水を流します。

12、 吸引を数回繰り返して行う場合は、必ず患者様の呼吸状態が落ち着いてから吸引を続けます。また、1回目の吸引時にアルコール綿でふき取ったカテーテル部分が水道水入りのコップにすべて浸るようにし、アルコール分を落としてから使用します。

13、 吸引が終わったら、スイッチを切り、患者の呼吸状態、分泌物の量や性状を確認します。

14、 手袋、カテーテルを感染性廃棄物として廃棄します。

15、 衛生学的手洗いを行います。