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罨法は身体の一部に温熱刺激または寒冷刺激を加えることによって、循環器系・神経系・筋系に作用させる治療法です。また患者の安楽をはかるための看護技術です。
罨法は、精神的安定・身体的安楽・疼痛緩和等を目的としています。

【罨法の種類】

罨法は、温熱刺激を与える温罨法と寒冷刺激を与える冷罨法に分けられます。それぞれ、水分でぬれた状態である湿性のものと、貼用する部分がぬれていない状態である乾生のものとがある。

≪温罨法≫

① 湿性
貼布:温湿布、部分温浴、部分蒸気浴、温パップ、ホットパック等
蒸気:部分蒸気浴、蒸気吸入等

② 乾性
局所:湯たんぽ、かいろ(使い捨て、電池、かいろ灰等)、電気あんか、蒸気浴、光線
照射、CMC製品等
全身:電気毛布、電気シーツ等

≪冷罨法≫

① 湿性:冷湿布(プリスニッツ罨法含む)、冷パップ等

③ 乾性:氷枕、氷囊、氷頸、CMC製品等

【温罨法について】

≪湿性の貼布する温罨法≫

代表的な物は温湿布である。お湯または薬剤を加えたお湯に湿布材料を浸してしぼり、局所に貼用する。ホットパックも湿性の温罨法である。またパップはあたためて用いれば温罨法であり、冷たい状態で用いると冷罨法になる。

≪蒸気吸入≫

蒸気吸入器を用い、蒸気を咽頭および喉頭に作用させて局所に湿度と温度を与え、湿性温罨法としての効果がある。このため風邪等による咽頭痛、声枯れ、咽頭炎の炎症時等に、局所の症状を和らげる方法として、吸入器を用いて実施されている。

≪乾性の温罨法≫

局所や身体の比較的広い部分に用いるものとしては、金属製、ゴム製、合成樹脂の湯たんぽにお湯を入れて用いるものや、CMC製品等がある。CMC製品はあたためて温罨法として用いるが、温罨法専用のものと、冷やして冷罨法になるものがある。腹部膨満の排ガス促進等の地洋として熱器を用いて熱気浴が行われる。光線照射としては、近赤外線のほか、遠赤外線が用いられる事が多い。
その他、使い捨てかいろの活用は多い。使用する時間が長い場合は低温損傷が生じないよう注意する必要がある。
全身に用いるものとしては、電気毛布、電気シーツがある。これらは生活のなかでも暖房器具として就寝時に用いられるが、治療に伴うものとして手術後のベッドの保温や体温上昇のためにも使用される。これらを使用する際は、寝床内温度が上がりすぎないように観察し、調節する。また、寝床内が乾燥するため、その影響で口腔や鼻腔等の粘膜が乾燥するので、室内の加湿への配慮をする。

【冷罨法について】

≪湿性の冷罨法≫

冷湿布は冷水またはこれに薬剤を加えたものに湿布材料を浸してしぼり、局所に貼用する。効果の持続をはかるためにその上に氷囊等を置くこともある。
冷湿布の代表的なものにプリスニッツ罨法がある。これは冷水(15~20℃)に湿布材料を浸してしぼり、局所に貼用してこれを厚い毛布等で覆い、数時間毎に交換するものである。湿布の温度は15~20℃から次第に体温まで上昇するので、はじめは冷罨法の効果があり、次第に体温程度の温罨法の効果にかわり、これが繰り返される。

≪乾性の冷罨法≫

氷枕、氷囊が用いられる。CMC製品は冷やして用いる。

【罨法の効果について】

≪温熱による影響≫

温熱を皮膚に貼用すると、皮膚に近い血管が拡張し血液循環がよくなり、深部血管は収縮する。

温熱は皮膚温度の上昇には効果があるが、大きな動脈に用いないかぎり体温への影響はない。そのほか、短時間の高温刺激は作業能率を高めるが、体温程度の温度は知覚神経の興奮をしずめ、鎮痛効果がある。また、胃腸管への高温刺激は蠕動運動を亢進させるので、腹部、腰部、殿部の温罨法は神経を刺激して胃結腸反射や腸の蠕動運動を亢進し、排便や排ガスを促すこととなる。これを活用し、排便や排ガスを促進する看護の技法として腰部に温湿布が行われる。

乾性の温熱刺激は皮膚表面の水分蒸発を促し、乾燥状態となり、湿性のものは皮膚表面を湿潤状態におくので熱の伝導はよいが、長時間の貼用は表皮の皮脂をとり、角質層をふやけさせる状態となるため皮膚の抵抗力を弱めることもある。
熱いお湯での清拭は、この湿性温熱効果と正式の効果が合わせられたものであるといえる。

≪寒冷による影響≫

寒冷つまり低温を皮膚に貼用すると瞬間的に血管は収縮するが、ゆっくりと拡張する。血管が収縮すると、その部分の細胞の機能が低下するが、それとともに炎症の原因となっている病原微生物の活動も低下し、化膿を抑制する効果がある。したがって、炎症の初期にはそれを消退させたり、進行を抑制する為に冷罨法を用いる。

寒冷刺激は、一般に機能を抑制するので、炎症だけでなく、機能が亢進している場合も用いられ、胃痙攣患者は冷罨法を局所に貼用すると楽になる。また、寒冷刺激は冷たさから痛覚を刺激して痛くなるが、すぐに感覚を麻痺させるので鎮痛にも用いられる。しかし、普通の状態での急激な広範囲の冷却は血管の収縮による血圧上昇をもたらし、長時間の低音は感覚まひや血液循環を阻害するので避けなければならない。

【罨法に用いられる薬剤、器具、材料について】

≪貼付する湿性罨法に用いられる薬剤≫

湿布には温・冷ともにお湯や冷水に薬剤を加えたものがあり、使用される薬剤にはエタノール(40~50%で使用)、アクリノール(1000~2000倍液使用)が用いられる。いずれも二次感染の予防と消毒を兼ねた効果を期待しているので、その必要性があるときに用いる。

≪乾性冷罨法に用いられる材料≫

乾性の冷罨法の材料は、非透過性のゴム袋、ビニール袋等に①冷水②氷③冷水と氷④冷水と寒材⑤CMC製品を入れて用いる。

≪パップ剤≫

パップ剤は、医薬品の粉末と精油成分を含み、湿布に用いる泥状の外用剤である。パップ剤は局所の加温、冷却、添加部分によって体表面の刺激や炎症を緩和する。